タミヤRCライブハイテク講座でTRF河野選手がツーリングカーのスタビライザーの正しい取り付け方と調整方法を教えてくれました。

スタビライザーの取り付け方をイマイチ分かっていなかった。TRF河野選手のスタビライザー調整方法を知りたいという方は、是非、確認して見て下さい。

スタビライザーの機能とは???

スタビライザーとはサスペンションにつける部品になります。スタビライザーという言葉の意味だけでみると『安定させる』という意味があるんですが何を安定させるのか?スタビライザーは別名アンチロールバーとも言われます。このワードの方が頭に入って来やすいでしょうか?つまり、スタビライザーはロールをさせにくくする部品という事になります。車を走らせた際の感じ方としてはスプリングを固くするのに近い効果があります。スプリングが柔らかくて旋回時のロールをもう少し減らしたけどスプリングを固くすると行き過ぎちゃう…とか、サスペンションの戻りを少しだけ早くしたいな…というときにスタビライザーをつければいいんです。


スタビライザーつける?つけない?の判断基準

良くサーキットで聞かれる声としてスタビライザーを装着したら車が曲がらなくなったという方がいらっしゃいます。その方にはスタビライザーを外してくださいと伝えます。その理由としてスタビライザーをつけて車が曲がらなくなったと感じたのであれば、その車にはスタビライザーは必要ない状態であるからです。あくまでもスプリングを柔らかくした時に、少しだけロールを減らしたいという場合に使って良く曲がるようにするのが正しい使い方なのです。

ダンパーは外した状態で取り付けよう!

そんなスタビライザーには組み方のコツがあって、多くの方が正しいつけ方を知らないまま扱っていることがあります。最小限のガタでスムーズに動く様に調整していく必要があります。今回は、質問の多いスタビライザーの組付け方を説明していこうと思います。

まず、ダンパーは外した状態で調整を行います。スタビライザーは左右均等に調整するのにコツがいりますので今回おすすめする方法で調整を行ってみて下さい。左右均等に調整出来ていないと真っすぐ走らせにくかったり、片側だけスピンしてしまうという現象を起こしてしまう要因になります。

スタビライザーロッドの準備と取付

まずはバルクヘッドのスタビホルダーにスタビライザーのロッドを載せてビスで止めます。調整はイモネジを回すことで行っていきます。イモネジが緩んでいる状態で、ロッドを上下に動かすと当然イモネジの緩み分のガタが発生します。この状態では、スタビライザーの効き初めのタイミングが安定しません。スタビライザーのロッドの固定はスムーズに動くがガタが無いところになる様に調整します。

最近ではスタビライザーをベアリングで受ける機構が登場していますが、ベアリングで受けたような動きになるようにイモネジを念入りに調整をして下さい。ガタがあってスムーズな状態ではダメで、ガタが無くスムーズな状態を作るのが大切です。また、スムーズな状態というのはスタビライザーのロッド端を持ち上げたときに自重でストンとロッドが落ちる状態がスムーズな状態と言えます。スタビライザーロッドの左右の動きはスタビロッドストッパーを使用して固定します。こちらはロッドの長さが純粋にセンターになるように固定します。

プッシュロッドの準備と取付

プッシュロッドは説明書に記載されている長さに作ります。そして、プッシュロッドにノンスクラッチラジオペンチなどを使用しスタビエンドを取り付けます。これを2セット作ります。つぎに左右のサスペンションにプッシュロッドを組付けます。

スタビエンドの準備と取付

最後にロッドとスタビエンドを接続します。少し前の商品だとスタビエンドの取付は角度や長さについて調整がシビアでしたが、今ではスタビエンドにロッドを差し込み、目いっぱい奥まで押し切るだけで細かい調整は必要ありません。

とはいえ、ホイールベースの兼ね合い等でプッシュロッドが斜めになっていたら調整が必要です。真横から見てプッシュロッドが垂直になるようにスタビエンドをずらして下さい。これで下準備は整いました。

テンションの左右差を確認する

スタビライザーのロッドは、どうしても左右にたわみや、ねじれが発生してしまします(ロッド自体のねじれを強制することは大変難しいです。)。そのため、先ほどの方法を丁寧に行ったとしても必ず左右に動きの差が出てきます。その左右差を確認するためには、まずドゥループ(リバウンド)を左右合わせます。今回は右サスペンションから動きを確かめます。右サスペンションのナックルピンの下にゲージを入れ、段々と高くしていきます。左サスペンションが動き始める時にゲージの目盛りを見ておきます。そして、左側のサスペンションも同様にして目盛りがどうなるか確認します。

スタビライザー調整方法

初めての調整の場合、右サスペンションと左サスペンションで目盛りの値が異なるはずです。この差を合わせていきます。例えば右のサスペンションの目盛りが18mm、左のサスペンションの目盛りが17mmだった場合、右のサスペンションについているプッシュロッドを伸ばす方向で調整します。逆に左のサスペンションについているプッシュロッドは短くする方向で調整します。右だけ締める、左だけ緩めるといったことはせずに、右を30度締めたら、左を30度緩めるといった具合に調整しましょう。この時の調整は少しずつ行ってください。この調整を左右の目盛りの差が無くなるまで行います。これで、左右テンションの差を無くす調整ができました。これでスタビライザー調整は完了です。

前住選手流 試走方法

サーキットで行う調整としては少し繊細な作業になりますから、自宅で調整してからサーキットで車の走り具合を確認してみてください。そこですぐに変化を感じられなければ片側のロッドエンドを外せばスタビライザーの機能は無くなります。スタビロッドを外すのは手間が多いので、ロッドエンドを外す、つけるを繰り返すことでスタビライザーの機能や効果を確認します。数回、試して付けた方が良く曲がるのであればつけたまま走る。曲がらなくなったらスタビライザーを外すのが良いと思いますよ。是非、試して下さい。