現代のタミヤサスアームはTRF420で採用されたもの、みんなが絶対に変えた方が良いと言うんですが…変えるとどんな変化があるんだろう?サスアームでそんなに走りが変わるのかな?と思う方には参考になるかもしれません。

サスアームを知るためにタミヤツーリングカーのサスアームが どんな風に変化してきたかタミヤツーリングカーの最高峰TRFシリーズをTRF415MSXX(2007年10月発売)から調べてまとめてみました。

サスアームの歴史を紐解く

モデル発売年発売月サスアーム
TRF415MSXX20071051104
TRF416WE20081253928
TRF416X200912
TRF417201012
TRF417X201112
TRF417V5201212
TRF41820131254569
TRF419201412
TRF419X2016654691
TRF419XR201712
TA07 MS201812
TRF42020191251639
2007年当時はサスアームが現在よりも片側1.0mm長いものが使用されていました。その後、2008年に発売されたTRF416ワールドエディションからショートリバーシブルサスアームが4年間使用されます。サスアームが短くなって更に剛性が上がるようにY型だったモールドがX型になりました。

TRF418からは、より走りを追求してリバーシブルサスアームという考え方を無くしレバー比の選択肢を無くして、ホイールベースが短くなる方向の成形が施されました。そして、TRF420ではTRF418のサスアームの肉抜きがほぼ無くなる様な形状となり剛性を高めた足回りになっています。さらにリヤのアップライト取付位置を3mm後方にすることでよりトラクションが得られる様な形状にしています。  

レバー比の選択肢に迷走する時代

Fサスアーム選択可能なレバー比(外から1)
5110412345
539281234
54569
54691
51639

Rサスアーム選択可能なレバー比(外から1)
5110412345
539281234
54569
54691
51639
上の表では、それぞれのサスアームでどんなレバー比が選択できるか表しています。例えばFサスアームで51104は1~5までレバー比が選択できます。表の縦軸はサスピンからダンパーエンドまでの距離を示していて、51104の3のポジションと、53928の1のポジションはサスピンからダンパーエンドまでの距離が同じ、51639の”外”のポジションも同様に同じとという事です。

2007年当時使用されていたリバーシブルサスアームの特徴は、何と言ってもレバー比を5段階も調整できること、その後、発売されたショートリバーシブルサスアームでも、それは継承されました。ピロボールの位置変更で簡単にレバー比を変えられるのでセッティングの幅が広がりました。未だに10年前のリバーシブルサスアームが販売されています。根強いリバーシブルサスアームファンがいるんだと思います。

その後、2013年TRF418投入に伴いサスアームのリニューアルが行われました。リニューアルでレバー比の選択肢を無くしてユーザーの迷いを軽減する方向になりました。そして、2019年TRF420のリニューアルでは前後レバー比は はめ込み式のアルミパーツを変更することで3拓になりセッティングの幅が少し戻りました。

ハイエンドが採用したレバー比は?

モデルFサスアーム各TRFシャーシ設定レバー比設定サスマウント
FFFR
TRF415MSXX51104123451B1A
TRF416WE5392812341C1C
TRF416X5392812341C1C
TRF4175392812341C1C
TRF417X5392812341C1C
TRF417V55392812341B1B
TRF418545691C1C
TRF419545691C1C
TRF419X5469105G05G
TRF419XR546910.5G05G
TRF42051639FF

モデルRサスアーム各TRFシャーシ設定レバー比設定サスマウント
RFRR
TRF415MSXX51104123451XB1D
TRF416WE5392812341XA1F
TRF416X5392812341XA1E
TRF4175392812341XA1E
TRF417X5392812341XA1E
TRF417V55392812341XB1D
TRF418545691A1E
TRF419545691X1F
TRF419X546911XA1E
TRF419XR546911XA1E
TRF42051639XAD
上の表では、横軸に各モデルが採用したサスアームとレバー比の選択肢、サスマウントを表示しています。例えば、TRF415MSXXであればFサスアームで51104というパーツを使用し、レバー比の選択肢は1~5まで5か所ありました。TRF416WEと比べると、サスアームは異なりますが縦軸が同じ列になっているのでサスピンからダンパーエンドまでの距離は同じになります。表に入っている数字はタミヤのセッティングシートのポジション番号で、TRF415MSXXであればレバー比3のポジション、TRF416WEであればレバー比1のポジションを採用しているという事です。

TRFシリーズマシンが採用したレバー比のポジションはフロントはTRF415MSXXからTRF419まで、リヤはTRF416WEからTRF419まで同じポジションでした。おそらく、そういった経緯からレバー比は固定でも、その他のセッティング箇所の変更でマシンづくりは可能だという判断になったのか?TRF418からは選択肢を減らしてサスマウントの変化などでセッティングを変えているのが見て取れます。

サスアームの素材

C:カーボン混入の樹脂 G:ガラス混入の樹脂
キット名発売年発売月サスアーム素材
TA05-IFS2007351297G
TA05 Ver.II2009651353G
TA05-R2007451104C
TA05MS2007751104C
TA05-IFS R2008553928C
TA05 Ver.II R20101053928C
TA06 PRO2011651353G
TA06MS2013651353G
TA06-R2014354569C
TA07 R2018354740G?
TA07 RR2020751639C?
TB-032008651353G
TB-03R2010353928C
TB-04 PRO2013951353G
TB-04R2015554569C
サスアームの素材は、発売当初のキット(R、MSが付かないラインナップ)に採用されるガラス混入樹脂と、その後オプションやR,MSが付くキットで販売されるカーボン混入のサスアームがあります。ガラス混入の樹脂は、カーボン混入の樹脂と比べて柔らかい性質があります。ハイエンドのTRFシリーズのサスアームは当然ながらカーボン混入の樹脂が採用されています。

固い樹脂の場合は、タイヤからの入力がダイレクトにシャーシに反映されるので反応が良く感じる場合が多いようです。また、しなりが少ないのでダンパーの性能が車の限界に大きく影響します。半面、柔らかい樹脂はタイヤからの入力が曖昧になり反応が少しマイルドになります。しなりも多いのでダンパーが限界を迎えてもサスアームのしなりで少し限界が高くなります。

どちらも、一長一短がありますから、あえて柔らかいサスアームを使うという方もいるようです。

まとめ

サスアームは4年に1度くらいのペースでリニューアルが行われますが、年々固くなり敏感にマシンが動く方向に変化してきています。レバー比の選択肢を減らしている流れを見ると、サスアームはある程度固定しておいて、その他の部分のセッティングで調整させたいというのがタミヤさんの狙いなのかもしれません。

しかし、ラジコンはホビーですからサスアームを色々試したり、素材を変えてフィーリングを楽しんだりするのも面白いです。未だリバーシブルサスアームは販売されているので、いろいろなレバー比を試したり、素材による差を感じて、納得するパーツを選びをするのも良いかもしれませんね!少しでも参考になれば嬉しいです。