デフには何種類かあって、ギアデフ、スプール、ワンウェイ、ボールデフなどがあります。その中のひとつがボールデフになります。タミヤの入門向けキット標準ではオイルの封入できないギアデフが入っていますが、どのRCのキットもある程度オプションパーツでボールデフが発売されています。
今回は前住選手流ボールデフの組み方をまとめてみました。TA-07のボールデフを組んでいきます。
ボールデフをつけると、どんな風に良くなるのか?実車で言うとLSD効果というのがあるんですが、ボールデフは左右の駆動力の差が出にくいように制限してくれるものになります。たとえばコーナリング中に片側のタイヤが浮いてしまったりします。すると浮いてしまった(負荷の掛かっていない)タイヤ側に駆動力が浮いた側よりに分散してしまいます。それでは、前に進む力が弱くなってしまうのでボールデフで左右両輪の駆動力の差が出にくいように制限して前に進む力が出せるようにするわけです。
特にボールデフをつけると加速力が増したり、コーナリングでスリップしにくくなるのが特徴です。これだけの話だとボールデフが最強じゃない?という話になりますが、その通りでモーターやバッテリーがボールデフ効果を発揮できる範囲内であればボールデフは最強のアイテムなんですけれど、作り方でボールデフの効果が発揮し切れない事があって、そこで人によって差が出てしまうんです。僕もRCはじめて35年経ちますが、いつもボールデフと向き合ってきました。
ボールデフを組み立てる際には3種類のグリスを使います。ひとつはオプションボールデフの中に入っているボールデフグリス、つぎにスラスト用のボールに使用するVGスラストグリスを使用します。最後にプレートを固定するためにVGプレートグリスを用意します。この3つを使って作っていきます。
はじめに金属パーツ、プレート、カップ、ボールなどを洗浄していきます。パーツクリーナーをキムワイプなどに吹き付けて、そのキムワイプでプレートなどを拭いて油をとります。プレートなどはキュッキュッと音がするくらいまで拭き取ります。(この作業を脱脂と言いますが、とにかくボールデフの精度を決めるのは脱脂と言って過言ではありません。どのパーツもキムワイプやティッシュで拭き取った時にキュッキュッと音がするところまで、ふき取りを行いましょう。脱脂が出来ていないと、それ以外の部分でボールデフの精度を出そうと思っても難しいです。丁寧に行いましょう。)
ボールはクリーナーをつけたキムワイプを下に敷いて指でコロコロする事で脱脂します。
プレートには裏表があって、エッジが無い側と、エッジがある側があります。エッジがある側をジョイントカップにつけます。エッジが無い側にボールが当たるようにします。TA-07のカップはDカットされているので、カットに合わせてプレートをつけるとプレートがしっかり固定されます。
タミヤの他いくつかのボールデフにはDカットが無く、円形のものがあります。それですとリングが固定されずに滑って回ってしまいます。プレートとジョイントカップは滑らない方が良いので固定するためにVGプレートグリスを塗っていきます。TA-07のボールデフはDカットされていますので滑りはしませんがガタガタしないようにVGプレートグリスを塗ります。
デフプレートをペーパーで磨いて鏡面にするのは効果があるかという質問がありますが、ボールデフをスルスルに組むには有効な手段だと思いますが、最近のパーツは精度が大分上がっているので昔のパーツほど磨いた効果を実感しにくいと思います。なので時間が無い方は特にやらなくても大丈夫だと思います。
プレートグリスは、余分なグリスがはみ出ていると動きが悪くなってしまうので、丁寧に拭き取ります。僕はここを特に丁寧にやります。
プレートにボールデフグリスを塗ります。ボールデフを軽く作りたい場合は少なめに塗るという方もいらっしゃいますが、砂や埃が入りやすい環境の場合には、あまり少なすぎるとボールデフが直ぐに傷んでしまいます。また、パワーがあるモーターやバッテリーを使う場合は、グリスが飛んでしまうためグリスを多めにした方が良いかもしれません。(ボールデフグリスはボールを滑らせるために塗るものではなく、逆にボールを滑らなくするためのグリスです。他のグリスやオイルが少しでも混じってしまうとボールの滑りに繋がってしまうためパーツ類の脱脂が不可欠なのです。)
ボールにボールデフグリスを塗ります。トレーなどにボールデフグリスを出して、その上にボールを載せ、指でコロコロと満遍なく塗りつけます。ボールは多めに塗ると良いと思います。
ボールをはめるプーリーをジョイントカップに準備します。グリスのついたボールををプーリーに入れます。オフロードの場合は、グリスの量を1.5倍くらいつけて砂や埃の対策をしています。
反対側のカップにも同量グリスを塗って同様に作って組み込みます。ネジを締め込む前にカップを左右ねじるように回してグリスをなじませます。
ボールデフで一番重要なポイントはスプリングになります。ナットとビスで締め付けるんですが、スプリングのテンションの掛かり方でボールデフの効きが変わるので慎重に行います。
スプリングはラジオペンチで圧力を掛けて縮ませます。さらに90度回して、もう一回縮ませます。合計2回縮ませます。この作業を忘れないようにして下さい。ここまで終了したらスプリングをカップに入れて下さい。スプリングの上にナットを入れて下さい。
スラストの組み付けを行います。ビスにスラストのワッシャーを通してスラストグリスを塗りつけます。スラストのボールがワッシャーにうまくくっつく様な量なグリスを塗るのがポイントです。
ボールが均等にネジ周りに載るようにします。
ボールが乗ったら、ボールから4mm程離れたビスにスラストグリスを塗ります。こうすることで次のワッシャーを入れたときにボールとワッシャーの間に上手にグリスを入れることが出来ます。
ワッシャーを入れたら、ボールが見えなくなるくらいスラストグリスを塗ります。このグリスが無くなってしまうとボールデフがゴリゴリになりやすいです。
ピンセットなどでワッシャーとスプリングが飛び出してこないように押さえながら、カップにスラストのついたビスを挿入し、ドライバーで軽く締め込みます。
ボールデフはボールでリングに溝がついてくると安定するので、ビスを締め込む前にリングに溝をつける作業を行います。左右のジョイントカップを固定して、プーリーの部分だけ回します。この時プーリーが動かなければロックしているので、ビスを少し緩めてプーリーが力を入れれば回る状態にして作業して下さい。リングに傷をつけておくことで完成したボールデフが緩むことを防ぎます。
締め込む前に、もう一度カップの左右をねじるように動きを確認して、スルスルとしっとりした動きになっていたらオーケーです。
最後に、締め込みの調整を行います。走りは滑らないのと、滑るギリギリくらいのところが一番良いんですけれど、滑ってしまうとボールデフの意味がないので、はじめは確実に滑らない所まで締め込んで下さい。
ジョイントカップの左右を固定して、プーリーだけを力強く回して、回らなくなるまで締め込んだら完成です。(良いボールデフは少ない締め込み量でも、ジョイントカップの左右を固定してプーリーだけ回したときガッチリと回らなくなります。)
新品で走行するとボールデフが緩んでいる事もあるので、走行後に必ず滑っていないかチェックをして下さい。
中のスプリングが重要なので、走り終わったら2回転くらいビスを緩めて下さい。スプリングのへたらせないことがボールデフを長持ちさせるコツになります。
今回は前住選手流ボールデフの組み方をまとめてみました。TA-07のボールデフを組んでいきます。
ボールデフをつけると、どんな風に良くなるのか?実車で言うとLSD効果というのがあるんですが、ボールデフは左右の駆動力の差が出にくいように制限してくれるものになります。たとえばコーナリング中に片側のタイヤが浮いてしまったりします。すると浮いてしまった(負荷の掛かっていない)タイヤ側に駆動力が浮いた側よりに分散してしまいます。それでは、前に進む力が弱くなってしまうのでボールデフで左右両輪の駆動力の差が出にくいように制限して前に進む力が出せるようにするわけです。
特にボールデフをつけると加速力が増したり、コーナリングでスリップしにくくなるのが特徴です。これだけの話だとボールデフが最強じゃない?という話になりますが、その通りでモーターやバッテリーがボールデフ効果を発揮できる範囲内であればボールデフは最強のアイテムなんですけれど、作り方でボールデフの効果が発揮し切れない事があって、そこで人によって差が出てしまうんです。僕もRCはじめて35年経ちますが、いつもボールデフと向き合ってきました。
ボールデフを組み立てる際には3種類のグリスを使います。ひとつはオプションボールデフの中に入っているボールデフグリス、つぎにスラスト用のボールに使用するVGスラストグリスを使用します。最後にプレートを固定するためにVGプレートグリスを用意します。この3つを使って作っていきます。
はじめに金属パーツ、プレート、カップ、ボールなどを洗浄していきます。パーツクリーナーをキムワイプなどに吹き付けて、そのキムワイプでプレートなどを拭いて油をとります。プレートなどはキュッキュッと音がするくらいまで拭き取ります。(この作業を脱脂と言いますが、とにかくボールデフの精度を決めるのは脱脂と言って過言ではありません。どのパーツもキムワイプやティッシュで拭き取った時にキュッキュッと音がするところまで、ふき取りを行いましょう。脱脂が出来ていないと、それ以外の部分でボールデフの精度を出そうと思っても難しいです。丁寧に行いましょう。)
ボールはクリーナーをつけたキムワイプを下に敷いて指でコロコロする事で脱脂します。
プレートには裏表があって、エッジが無い側と、エッジがある側があります。エッジがある側をジョイントカップにつけます。エッジが無い側にボールが当たるようにします。TA-07のカップはDカットされているので、カットに合わせてプレートをつけるとプレートがしっかり固定されます。
タミヤの他いくつかのボールデフにはDカットが無く、円形のものがあります。それですとリングが固定されずに滑って回ってしまいます。プレートとジョイントカップは滑らない方が良いので固定するためにVGプレートグリスを塗っていきます。TA-07のボールデフはDカットされていますので滑りはしませんがガタガタしないようにVGプレートグリスを塗ります。
プレートグリスは、余分なグリスがはみ出ていると動きが悪くなってしまうので、丁寧に拭き取ります。僕はここを特に丁寧にやります。
プレートにボールデフグリスを塗ります。ボールデフを軽く作りたい場合は少なめに塗るという方もいらっしゃいますが、砂や埃が入りやすい環境の場合には、あまり少なすぎるとボールデフが直ぐに傷んでしまいます。また、パワーがあるモーターやバッテリーを使う場合は、グリスが飛んでしまうためグリスを多めにした方が良いかもしれません。(ボールデフグリスはボールを滑らせるために塗るものではなく、逆にボールを滑らなくするためのグリスです。他のグリスやオイルが少しでも混じってしまうとボールの滑りに繋がってしまうためパーツ類の脱脂が不可欠なのです。)
ボールにボールデフグリスを塗ります。トレーなどにボールデフグリスを出して、その上にボールを載せ、指でコロコロと満遍なく塗りつけます。ボールは多めに塗ると良いと思います。
ボールをはめるプーリーをジョイントカップに準備します。グリスのついたボールををプーリーに入れます。オフロードの場合は、グリスの量を1.5倍くらいつけて砂や埃の対策をしています。
反対側のカップにも同量グリスを塗って同様に作って組み込みます。ネジを締め込む前にカップを左右ねじるように回してグリスをなじませます。
ボールデフで一番重要なポイントはスプリングになります。ナットとビスで締め付けるんですが、スプリングのテンションの掛かり方でボールデフの効きが変わるので慎重に行います。
スプリングはラジオペンチで圧力を掛けて縮ませます。さらに90度回して、もう一回縮ませます。合計2回縮ませます。この作業を忘れないようにして下さい。ここまで終了したらスプリングをカップに入れて下さい。スプリングの上にナットを入れて下さい。
スラストの組み付けを行います。ビスにスラストのワッシャーを通してスラストグリスを塗りつけます。スラストのボールがワッシャーにうまくくっつく様な量なグリスを塗るのがポイントです。
ボールが均等にネジ周りに載るようにします。
ボールが乗ったら、ボールから4mm程離れたビスにスラストグリスを塗ります。こうすることで次のワッシャーを入れたときにボールとワッシャーの間に上手にグリスを入れることが出来ます。
ワッシャーを入れたら、ボールが見えなくなるくらいスラストグリスを塗ります。このグリスが無くなってしまうとボールデフがゴリゴリになりやすいです。
ピンセットなどでワッシャーとスプリングが飛び出してこないように押さえながら、カップにスラストのついたビスを挿入し、ドライバーで軽く締め込みます。
ボールデフはボールでリングに溝がついてくると安定するので、ビスを締め込む前にリングに溝をつける作業を行います。左右のジョイントカップを固定して、プーリーの部分だけ回します。この時プーリーが動かなければロックしているので、ビスを少し緩めてプーリーが力を入れれば回る状態にして作業して下さい。リングに傷をつけておくことで完成したボールデフが緩むことを防ぎます。
締め込む前に、もう一度カップの左右をねじるように動きを確認して、スルスルとしっとりした動きになっていたらオーケーです。
最後に、締め込みの調整を行います。走りは滑らないのと、滑るギリギリくらいのところが一番良いんですけれど、滑ってしまうとボールデフの意味がないので、はじめは確実に滑らない所まで締め込んで下さい。
ジョイントカップの左右を固定して、プーリーだけを力強く回して、回らなくなるまで締め込んだら完成です。(良いボールデフは少ない締め込み量でも、ジョイントカップの左右を固定してプーリーだけ回したときガッチリと回らなくなります。)
新品で走行するとボールデフが緩んでいる事もあるので、走行後に必ず滑っていないかチェックをして下さい。
中のスプリングが重要なので、走り終わったら2回転くらいビスを緩めて下さい。スプリングのへたらせないことがボールデフを長持ちさせるコツになります。
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