ツーリングカーでは一般的なダイアフラム式ダンパーですが、バギーにはエアレーションダンパーといわれる方式のダンパーも存在します。今回は、そのエアレーションダンパーの組み方を徹底的に解説いたします!






エアレーションダンパーはオーリングを格納するカートリッジがあって、ここにオーリングをしまってからふたをするという形になります。カートリッジを樹脂にしているのは、樹脂と金属の組み合わせの方が、樹脂の柔軟さでオイルが漏れにくくなるからなんです。




ダイアフラム式よりも部品点数が多くて難しく感じるかもしれませんがハイスピードで走るマシンのピストンロッドをしっかり安定させるために必要なものになります。もし、スピードがそれほど速くないのであればダイアフラム式でも十分に走行を楽しむことが出来ますよ。




まずは、ケースにシャフトガイドを入れます。その時に便利なのがキットに付属する十字レンチです。十字レンチを使ってシャフトガイドをカチッと言うまで押し込みます。ここがまっすぐに入っていないと大変なことになるので注意が必要です。




つぎにカートリッジ側に白いシャフトガイドを入れます。こちらもシャフトガイドがまっすぐに入る様にL字レンチなどで押し込んで下さい。




ここでダイアフラム式同様に、Xリングの側面の溝にグリスを塗っていきます。今回は硬度50のXリングを使用していきます。グリスを塗ったXリングはカラーを入れたカートリッジに一つ入れていきます。




そして、カートリッジに黒いシャフトガイドを入れます。続いてスペーサーを2枚入れます。このスペーサーはXリングの押さえ具合を決めるもので、スペーサーの枚数によってXリングの摩擦を変化させます。2枚でダンパーの動きが軽ければ枚数を多く、重ければ枚数を少なくして下さい。





スペーサーを入れ終わったら、黒いシャフトガイドを入れ、続けてXリングを入れていきます。そして、オイル漏れを防ぐためにカートリッジのふちにグリスを塗っていきます。




グリスが塗り終わったらカートリッジをケース付けていきます。カートリッジはケースに対してまっすぐに入っていれば簡単にクルクルと入っていきます。




カートリッジをしっかり締め込んだらXリングにオイルを数滴たらします。オイルはピストンロッドとXリングが触れる部分全体にいきわたらせるイメージです。




そして、ピストンを組み付けます。ピストンロッドにEリングをはめて1枚0.1mmのスペーサーを入れます。リアのピストンなので4という表示のある2穴のピストンを使っていきます。




ピストンが完成したら、正規の向きとは反対側から差し込みます。ピストンを動かすと、はじめはかなり抵抗を感じると思います。なのでぐりぐりぐりと円を描くようにロッドとXリングをなじませます。




ピストンを抜き、正規の方向からピストンをケースに入れ直します。突き出たロッドに再度オイルをつけて出し入れを5分くらい繰り返します。そうすると段々とスムーズな動きになってきます。




スムーズになったらプライヤーでロッドをはさみ、ロッドエンドをつけていきます。付け終わったら、ケースにオイルを60%入れていきます。




ピストンを液面の下でゆっくり動かし、空気を抜きます。そして、静かに置き、オイルから気泡が抜けるのを待ちます。ここからは説明書に載っていない作り方をご紹介しますね。




まず、こちらのキャップなんですが、説明書ではこれでふたをして完成となっていると思いますが、キャップに空いている穴からオイルが出るようにも出来ます。こちらのやり方をご紹介しますね。




キャップの裏面中心にくぼみがあるのが分かると思います。こちらのくぼみに穴を開けると、先ほど紹介した横穴とつながる仕組みになっています。このくぼみに穴を開けていきます。




1.0mm(1.0mmが最適になる様に設計されています。)のピンバイスでくぼみに穴を開けますが、勢いよくやってしまうと突き抜けて空いてほしくない穴が空いてしまうので慎重に穴を開けて下さい。横穴から光の差込などを確認して丁度いいところで穴開けを完成させましょう。




先ほど静置しておいたケースに追加でオイルを入れていきます。ケースにはあふれるギリギリまでオイルを入れ、キャップにもオイルを入れます。キャップの穴にふたをしない状態のままで大丈夫です。




ケースにキャップを付けていきます。締め込んでいくとキャップの横穴からオイルが出てきます。




ティッシュなどをネジって、こよりを作って準備してください。そしたら、ヒストンを上に上げます。すると横穴から更にオイルが出てきます。ピストンロッドの残りが1cmくらいのところまで上げて下さい。




あふれてきたオイルを先ほどのティッシュを使って拭き取ります。更に、ネジって、こより状にした部分を使って横穴の中のオイルも拭き取っていきます。




拭き取りが完了したら、横穴にキャップスクリューを締め込みます。




ピストンを押し込むと、少しだけ戻る。また、ピストンを引き切ると少しだけ戻る。という動きになります。ダイアフラム式の様に戻りが大きいとギャップ走破性は良いが、ロールし過ぎてしまうというデメリットがあります。エアレーションダンパーの良いところは戻りが少ないため、細かいところの調整が聞くところが良いところです。




最後に、ピストンロッドを何回か出し入れしてオイルと空気を混ぜてなじませます。これで完成です。エアレーションダンパーは走る前にもサスを動かしてオイルと空気を混ぜるのが大事です。



Q&A


Q.ダイアフラム式ダンパーは硬度70、エアレーションダンパーは硬度50がおすすめなのはなぜですか?
A.ダイアフラム式ダンパーでは硬度70のXリングを2つ使用しましたが、エアレーションダンパーの方は硬度50のXリングを2つ使用しました。これはエアレーションダンパーのカートリッジが樹脂のため締め込みがきつくなり、Xリングの摩擦が増えるためです。


Q.エアレーションダンパーの特徴はどんなものですか?
A.ダイアフラム式ほど軽く動いたりはしないのですが、エアレーションダンパーの動きはキメが細かいです。ジャンプの着地の姿勢が良かったり、ギャップ走破性が良かったりするのが特徴です